FOOD

飛騨高山の酒蔵

2022/12/22 更新

飛騨の食文化に磨かれた味わいは、高山テロワールの妙。左党はもちろん、下戸にだって楽しめます。

水よし、米よし、肴よしの飛騨高山ならではの味わい

冷涼な気候と飛騨山脈を源流とした名水がいたるところから湧き出る飛騨。
また、豊富な土壌とミネラルが溶け出した雪解け水で育った酒造好適米。
豊かな自然に恵まれた飛騨地方には、酒造りが盛んな銘酒どころとして、各所に個性様々な酒蔵があります。

また、高冷地で採れた飛騨野菜や飛騨牛、古くから愛されてきた漬物ステーキ、朴葉味噌など、酒の肴にもってこいの食べ物が多く存在するのも、銘酒どころの所以かもしれません。

金森長近が飛騨を治めた1586年より前の1500年頃には、飛騨地方にはすでに酒造りが伝えられ、豪商たちの副業にもなっていたとされています。
また、飢饉のときにと保管していた備蓄米を必要のない年は酒造りに変え、豊作の年も農家から余剰米を買い上げて酒にすることで、米の価値を安定させていたそう。
古い町並に残る豪商たちの家や、豪華絢爛な高山祭の屋台、また、飛騨地方には大きな農家も多く、酒造りは街全体が豊かになるための一翼を担っていたのかもしれません。

やがて徳川幕府の直轄地「天領」となった飛騨地方。
今からおよそ300年前には89軒の酒蔵がありました。
他の土地から入ってこれないように交通網を発達させなかったため、戦後の経済発展から取り残され、昔の町並が残っていると話題になり、今では多くの人々が訪れる観光地となりました。
残る酒蔵を守るため、それぞれの酒蔵では様々な取り組みがなされています。

酒蔵の目印は「酒ばやし」とよばれる杉の葉を玉にした看板。
杉玉は日本酒造りをしている酒蔵が、新酒ができた目印に軒先に吊るす飾り。
飛騨市の酒蔵は観光客に人気のある場所に位置しているので、町並みを歩いていると目に入る機会も多いかも知れません。

ガイドさんの案内のもと酒蔵を公開していたり、利き酒や試飲が出来るところも多いので、じっくり回って飲み比べてみるのもおすすめ。
また、酒造によっては地酒だけでなく、お酒のケーキやコスメなどを販売しているところもあります。
飛騨の歴史と自然の恵みが濃縮された銘酒の数々。ぜひお気に入りの一本を見つけてみてはいかがでしょう。