CULTURE

日下部民藝館

2022/12/23 更新

低く、重く。その軒に歴史が宿る町家建築の妙。その空間美も必見。

低く、重く。その軒に歴史が宿る町家建築の妙。

江戸時代から明治にかけて建てられた、多くの歴史的建造物と美しい町並みが広がる飛騨高山。
旧城下町の北側区域に並び立つ日下部家住宅(日下部民藝館)と吉島家住宅はその代表格であり、日本の江戸時代民家建築の最高峰として世界に認められている存在です。
飛鳥時代から続く「飛騨の匠」と称される優れた大工たちの技術や、造形的な美しさが際立つ貴重な建物です。

1966年、雑誌「暮らしの手帖」の創刊者・編集長であった花森安治の勧めもあり、自邸を改装、「日下部民藝館」として開館、一般公開されました。
そして同年、明治に建てられた民家としては初の”国指定重要文化財”に指定されました。

日下部家は、江戸時代に徳川幕府直轄の天領となった高山で、御用商人として栄えた商家。
江戸時代に建てられた邸宅は1875年の大火で焼けてしまったため、現在の建物は1879年に、当時の名工:川尻治助によって建てられたものです。
幕府から厳しい制約を課せられてきた時代が終わり、明治という新しい時代の自由さを表現するように、力強くも壮大な印象の建物に仕上げられています。

大梁を大黒柱が支える構造が男性的な美しさをもつと評され、飛騨高山に代々受け継がれてきた匠の技を体感するにはもってこいの空間。
天井を走る豪快な梁と高さ10mもある大胆な吹き抜けが印象的で、梁はアカマツを切ることなくそのまま使用しており、力強い迫力があります。
燻されて黒光りした柱・梁からは、長い年月をかけて現れる手擦れの味わいが感じられ、江戸時代の高山の町家造りの特色が留められているのがわかります。
高窓からの光によって、梁の質感がうっすらと照らし出される様子もまた美しく、多くの人々が魅了されるのも納得の美しさ。

主屋には、民芸の示す「美しさの規範」に則り、江戸時代の生活用品や民藝品を展示。
土蔵には飛騨春慶や一位一刀彫をはじめ、各地の民藝品がならび、休憩所も併設されています。

「高山を、歴史と文化を、出来る限り多くの方に知って頂きたい」その一心で建物を守り続け、豊かな文化体験の提供を目的とし、一般公開を続けてきた「日下部民藝館」。
近年は所蔵作品の展示公開以外にも、文化財を核とした周辺のまちづくりや、地域の若い世代を中心とした企画展示や舞台芸術、講演会などの文化活動の場としても活用されています。

周辺には宮川朝市や屋台会館、櫻山八幡宮などがあります。隣の吉島家住宅と合わせて周るのもおすすめですよ。

ACCESS INFORMATION

住所 岐阜県高山市大新町1丁目52

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